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保育園の屋根に置かれた、市民出資による「おひさま進歩エネルギー」の太陽光発電パネル=2014年、長野県飯田市

A-stories ソーラー発電はいま

 愛知県や静岡県との県境から、長野県内を北へ、たくさんの「お日様マーク」が地図を彩る。同県飯田市のおひさま進歩エネルギーのホームページに掲載されている、これまでに手がけた太陽光発電施設を紹介する「発電所MAP」だ。

 同社は市民出資による太陽光発電事業の草分け的存在。2004年に保育園の屋根に第1号を設置して以来、20年間で県内の太陽光発電の設置は403カ所、発電能力は計1万1千キロワット(24年1月現在)となった。

 同社にとっての大型案件の一つが、15年、同県大町市内で稼働させた4カ所の地上設置型の太陽光発電所だ。出力は合計2千キロワットに上る。

 高齢化で管理が難しくなった地権者25人から土地を借りて建てた。当時は義務ではなかったが、事業説明会を半年に5回開いて、地元との対話に努めた。「最初に懐疑的だった人ほど、最後には協力してくれるようになった」と菅沼利和社長は振り返る。

地元から「耕作放棄地を生かしてくれてありがとう」の声

 飯田市は元々、再エネ導入に前向きだ。13年に施行した条例では、地元の自然資源を使って発電し、その収益を地域づくりに生かす事業であれば、市が認証する。企業にとっては、信用力の向上や資金調達力につながる制度だ。

 最近の太陽光への逆風で、同社でも地上設置型の建設は難しくなっている一方だという。菅沼社長は「本来は太陽光に限った話ではなく、開発による土地利用をどうするかという問題だ。太陽光発電施設は数十年にわたって残るので、自治体が目標を掲げ、地域に理解される計画を事業者とともに進めるべきだ」と指摘する。

 「地域の理解」をカギに挙げるのは、同社のような市民電力だけではない。

 エムケイソルテック(広島県…

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